このアニバーサリーセットは、私たちのコーヒーに対する考え方が、時間とともにどのように広がってきたかを表しています。
それは過去から変化してくものではなく、今もなお、焙煎や抽出、そしてコーヒーの届け方そのものに息づいている私たちの考え方の積み重ねです。
私たちはまず、安定感があり、親しみやすいコーヒーからスタートしました。毎日の中で無理なく楽しめる、安心感のある味わいです。
その後、歩みを重ねる中で、私たちの好奇心は、コーヒーが持つより豊かな表現力へと向かっていきました。
そして今、その経験の積み重ねが、私たちの考え方をより明確なものにしています。
親しみやすさや、心地よさを大切にしながら、これまで特別で難しく感じられるような個性的な風味も、もっと自然に楽しめる形で届けたいと考えています。
このセットでは、過去から現在への“変化”を表すものではなく、私たちのこれまでの学びや経験がひとつに重なり合ったものです。
コーヒーは、気軽に楽しめるものでありながら、同時に豊かな個性も持ち合わせている。そんな私たちの今の考え方を表しています。
Our Beginning: La Joyeria
このコーヒーは、私たちの原点を表しています。
安心感があり、自然と毎日に寄り添い、何度でも飲みたくなるような一c杯です。
La Joyeria は、Dark Matter に初めて使用したコロンビアのコーヒーでした。
やがてブレンドの中核となり、今の Dark Matter の味わいを形づくる存在になりました。創業初期にはフィルターコーヒーとしても提供されており、ブレンドとはまた違ったかたちで、その個性を感じていただきました。
なめらかで心地よい飲み口に、ほのかなストーンフルーツやプラムのような酸味。キャラメルのような甘さとミルクチョコレートのような余韻が重なります。長年親しまれてきた、Alchemistらしい味わいです。
そこには、良いコーヒーはまず“親しみやすい存在”であるべきだという、創業当初からの私たちの考えが表れています。
日常的な一杯にも、そこには丁寧さや明確な意図をきちんと宿すことができる。
私たちはそう信じています。
The Journey: Las Margaritas
このコーヒーは、私たちの“好奇心”が大きく広がっていった時期を象徴しています。
丁寧な手仕事によって、コーヒーの味わいがどこまで豊かに表現できるのかを探し始めた頃の一杯です。
Las Margaritas は、私たちのコーヒーに対する見方が変わり始めるきっかけとなる存在でした。
創業初期、私たちは遠くから Cafe Granja La Esperanza(CGLE)のコーヒーに憧れを抱いていました。ワインのような奥行きと、幾層にも重なる味わいは、当時の私たちにとって非常に印象的な存在でした。
その興味はやがて実際の関係性へと変わっていきます。実際に農園を訪れ、品種やプロセスに向き合う丁寧な仕事を目の当たりにし、直接買い付けを行うようになりました。
このロットには、CGLEらしい表現力豊かな発酵由来のキャラクターと、Geisha特有のベルガモットやストーンフルーツの繊細なニュアンスが感じられます。
私たちにとってこのコーヒーは、“より広がりや奥行きのある味わい”へと惹かれていった時期を象徴するような存在です。
精製や品種によって、コーヒーがここまで表情を変えるのだという発見が、そこにはありました。
Clarity in The Present: La Papaya Typica AN
このコーヒーには、私たちがこれまで大切にしてきたふたつの感覚が共存しています。
親しみやすい安心感と、時が経ち惹かれるようになった繊細なニュアンス。その両方です。
La Papaya Typica ANは、今の私たちのコーヒーへの向き合い方をよく表しています。
より実験的なプロファイルを長く探求してきたからこそ、私たちは改めて、“表現力”と“明快さ”の両方を兼ね備えたコーヒーへと立ち返るようになりました。
このロットが印象的だったのは、極端な個性を持っていたからではありません。
フローラルな立ち上がり、重なり合う果実感、そして味わい全体を支える構造。そのすべてが、とても自然なバランスでまとまっていたからです。そこには、明確な意図と落ち着きが感じられました。
また、このコーヒーは私たちの新しい取り組みの一歩でもあります。
今回初めて扱うコーヒーですが、品質や細部への向き合い方に共感できる生産者との関係を、これからも広げていきたいという想いが込められています。
これが、今の私たちが考えるコーヒーです。
個性がありながらも地に足がついていること。丁寧でありながら、毎日の中に自然と溶け込むこと。
複雑さとは、決して日常から遠い存在である必要はない。
私たちはそう考えています。