Alchemistは2016年、International Plazaに構えた小さなコーヒーバーから始まりました。
ひとつのことに集中し、それを丁寧に行うために、 空間はとてもシンプルに設計されています。ただシンプルに、美味しいコーヒーをお客様へ届けること。



店内のすべての要素は、その考え方に基づいて選ばれています。バーカウンターは空間の前面に配置され、店内に入ると自然にバリスタと向き合うデザインになっています。決して広い空間ではありませんが、お客様との最初のやり取りを私たちは大切にしていました。
エスプレッソマシンはカウンターの奥側に配置することで、空間の視界を遮ることなく、圧迫感を感じないようにしています。それは、私たちの仕事に対する静かな自信の表れでもあり、同時に、会話が自然と生まれるような、より開かれた心地よい空間づくりにも繋がっています。
白と黒のレターボードメニューもまた、シンプルでわかりやすく伝えるための方法のひとつでした。
ステンレス製のカウンターやシンプルな木製のシェルフは、実用性を重視して選ばれています。耐久性があり、飾り気のないシンプルな素材であり、実際に日々使用するコーヒーバーにふさわしいものでした。やがて、こうした選択は少しずつAlchemistを形づくり、今でもすべての店舗へと受け継がれています。
2016年に私たちがAlchemistをオープンした当時、サードウェーブコーヒーカルチャーは最盛期を迎えていました。新しいカフェが次々とオープンする一方で、同じくらい閉店していく店も多くありました。
International Plazaの並びには、喫茶店やチェーン系のカフェが立ち並び、さまざまなコーヒーの在り方が混在していました。そうした環境の中で、私たちはこのコーヒーシーンの中でどう在るべきかを自然と考えるようになりました。規模や派手さで目立とうとするのではなく、ひとつのことをきちんとやり続けることに集中していました。
私たちが目指したのは、サードウェーブコーヒーが持つ品質の高さを、もっとより身近なものにすることでした。コーヒーの難しく感じられてしまう部分を取り除き、親しみやすく、自然とまた戻ってきたくなるような心地良いコーヒーを提供したいと考えていました。
最初の空間から、私たちの考え方は少しずつ明確になっていきました。シンプルであること。品質に向き合うこと。誰にとっても通いやすい場所であり続けること。それらが、私たちが続けてきたことです。